映画「ショーシャンクの空に」は公開された当初は名作と言われるほど大ヒットしたわけではありませんでした。
１９９５年のアカデミー賞に７部門ノミネートされたものの本国アメリカでの年間ランキングは９５位。興行成績もパットしませんでした。
それでも口コミなどから作品の魅力が広まり名作ランキングの常連にまでなっています。
ホラーの巨匠「スティーブンキング」がホラーじゃない作品として発表した小説が名作となりました。
そこで、映画「ショーシャンクの空に」が名作である理由をあらすじや製作背景から考察してみました。
| 作品名 | ショーシャンクの空に |
| 監督 | フランク・ダラポン |
| 原作 | スティーブン・キング |
| 公開日 | 1995年6月3日 |
| 上映時間 | １４２分 |
| キャスト | ティム・ロビンス モーガン・フリーマン ボブ・ガントン ウィリアム・サドラー クランシー・ブラウン ギル・ベローズ ジェームズ・ホイットモア マーク・ロルストン 他 |
ティム・ロビンス演じる新人の囚人アンディは元銀行員で妻を銃殺した冤罪で投獄されます。
刑務所内で知り合ったモーガン・フリーマン演じるベテラン黒人囚人と最初は距離を置きながらも徐々に打ち解け友情を深めていきます。
仮釈放を願って誠実に刑務所で生活を送るなか、刑務所職員とあることがきっかけで仲良くなり、ついには刑務所長の帳簿まで管理することになります。
すべては仲間をおもったアンディの細やかな交渉がきっかけでした。
冤罪で投獄された誠実な青年と、ベテラン囚人のやり取りに不思議と引き込まれていきます。
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ショーシャンクの空にあらすじ
無実の罪で終身刑として投獄された元銀行員アンディ。
ぐっとめを引くようなキャラクターでも、いかにも弱弱しい貧弱さがあるわけでもない、いたって普通の、本当に普通の青年。
なので刑務所内の古株調達人レッドは他のいかにも悪い囚人と比べると「本当に変わったヤツだ。」という印象でした。
屋根の掃除を一緒にするまでは。
一緒に屋根掃除をしていたさなかに、刑務所職員の税金の悩みにふらっと相談にのり、解決してしまいました。
それがきっかけで刑務所内中のお金を扱うようになり、ついには刑務所長の隠れ資金まで管理するようになりました。
それが全ての始まりであり、同時に終わりでもあったんです。
「ショーシャンクの空に」のキャストは大激戦だった
レッドは当初クリントイーストウッドだった？
「ショーシャンクの空に」は主要なキャストが何人かいます。
刑務所内のベテランで後のアンディーの大親友レッド（モーガン・フリーマン）元銀行員の白人新人アンディ（ティム・ロビンス）。
レッド役にはクリント・イーストウッド、ハリソンフォード、ポールニューマンとそうそうたる顔ぶれが候補に挙がりました。
そして、最終的に深みのある声と穏やかかつ渋い存在感を評価され、黒人というのもポイントでモーガンフリーマンが演じることになったんです。
レッド役のモーガンフリーマン。ダラボン監督に見いだされたくらいの存在感ある地声なんですが、吹き替え版の池田勝さんがこれまた素晴らしい声優さん。
モーガンフリーマンといえば池田勝さんなのです。
アンディはトム・クルーズが有力だった？
アンディ役はトム・クルーズやトム・ハンクスが候補でした。
ところが他作品撮影との被りが続き、最終的にティム・ロビンスが演じることになりました。
原作では小柄でしたが、スター俳優の起用で作品のヒットを狙うよりも、細面で、色白長身、そこまで高額ギャラでない俳優にしたほうが、役のイメージが長く印象に残ると決断し、地味な俳優で固めるという道を選んだのです。
若い白人と、初老の黒人というバディー感も賢い選択でした。後の「グリーンマイル」でも白人と黒人というキャスティングが同じ効果として活きています。モーガンフリーマン同様に、ティムロビンス演じた大塚芳忠さんも素晴らしい声優さんです。
『ショーシャンクの空に』
歳を重ねていくアンディと図書室の風景が記憶に残る映画。
トミーに勉強を教えて欲しいと相談されたのも図書室だった。（画像３）
この映画、レコードやポスターがお題でも挙がる。
大音量で「フィガロの結婚」を流した時のこの顔、最高。（画像４） pic.twitter.com/Rq9lgw1K8r— トリコ@映画、音楽、本、漫画 (@trico0321_hobby) October 4, 2022
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原作スティーブンキングが映画化権を売却していた
作品の映画化とくれば有名なのがスティーブン・キング。
ほぼホラーな「ペットセメタリー」や泣きすぎ青春ドラマ「スタンドバイミー」といった佳作は有名すぎるところです。
「ショーシャンクの空に」ももちろんキング原作。しかも「グリーンマイル」や「ミスト」になると本作と同じくフランク・ダラボン監督作となっています。
ダラボンとキングの絆は深く、映画に対する想いも大きかったキングは20代のダラホンに１ドルで映画化権を渡しました。
才能があっても資金がないハリウッドの若者を応援するため映像化権を１ドルで売る作家として知られていました。
もっとも条件付きで、その条件は「非営利であること」「完成した作品をキングに送ること」だったんです。キングの作品を作り上げたダラホンは知名度を上げ、ホラー映画を中心に名を上げてきました。
「ショーシャンクの空に」もこの時からの縁で出来上がりました。原作名は「刑務所のリタ・ヘイワーズ」です。今回は商業目的の映画製作であり、契約金は１０００ドルとなりました。
それでもハリウッドでは破格でしょう。しかし、キングはダラボンから小切手を受け取っても現金化はせず、映画化が成功した後に祝福のメッセージと一緒に小切手を額に入れて送り返したんです。
その６年後に公開された「グリーンマイル」は「ショーシャンクの空に」の興行成績が２８８０万ドルに対し、興行成績2億8680万ドルと桁が大きく変わりました。
もっとも何十年たった今でも「１ドル」から始まったダラボンとの絆は健在です。
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大どんでん返しと希望をも貰える理由
ヒロインがいない男ばかりの映画、でもちょっぴりノスタルジック
おどろおどろしくなく、清々しい不思議な気持ちにさせてくれる本作。なのに、女性キャラクターが一人も登場しないんです。
作中に登場する女性シーンはポスター写真のみ。しかも、このシーンですら数分もないんです。
アンディーとレッドを軸にし、ボブ・ガントン演じる最悪なサミュエル・ノートン刑務所長への鉄槌をくらわすまでがストーリーの根幹なので、女性キャストは不要なんですね。
それが本作に独特の厚みを持たせ、また、ダラボン監督の作風にもなりました。
もちろん他のダラボン監督作品に全く女性キャストがないわけではないです。けれど、どちらかというと、男女の恋愛ストーリーは表現したがらないようです。
救済か贖罪かそれとも
作中でアンディーはインテリで異質な囚人という設定ながら、数人の受刑者と一緒に作業中に看守ととある取引をし、結果刑務所内でビールを味わうという現実的にはありえなさそうないシーンがあります。
また、アンディーが放送室を占拠し刑務所内を大音量でモーツアルトを流すシーンもあります。
１９６０年代を設定していますので、この時代ならあってもいいのかなと思わせるシーンです。冤罪で投獄されたこと。囚人にも救済は必要ではないのか。と問いかけるダラホン監督のメッセージが読めます。
作品中のキーアイテムとして「聖書」もあり、脚本も兼任したダラホン監督が込めた思いが要所要所に散りばめられています。
テーマが感性に触りますね。人間の深い闇や恐ろしさ、思慮深さに独特のタッチで触れていくところでしょうか。
まとめ
「ショーシャンクの空に」のあらすじから、作品が作られるまでの背景と政策秘話に触れ考察してみました。
名作が生まれるまでにはドラマがあり、むしろ製作過程のほうが深いストーリーがあるのかもしれません。
刑務所映画なので監督、作り手側にはより独特の工夫や思いがあるでしょう。
「ショーシャンクの空に」はその中に男の人生観を達観している要素があります。名作ランキングで常に上位にある本作なので一度ご覧になって下さい。
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